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食文化、知恵、人。宝を守り、伝えていく老舗みそ屋、越後みそ西!

株式会社越後みそ西、創業天保2年。まちの歴史と、食文化を守り続けた企業があります。大きな木桶が並ぶ作業場では、手間暇かかった味噌がぎっしり。体を使うダイナミックな作業から、微生物と向き合う繊細な作業まであります。守り続けるために、変わり続ける企業がここに!

建物に住み続ける菌

柏崎市新道にある本社の奥には、味噌を製造している作業場があります。そこは、木桶と、菌と、人がいる場所。人の手が合わさって、味噌ができるのだと感じられる場所です。作業場には大きな木桶が立ち並んでいます。どれも歴史を感じさせる良い色に染まり、深い香りがしてきます。木樽で最初から最後まで仕込む味噌づくりは、今では珍しい製法となりました。「この桶には、ここだけの菌がついています。建物もそうです。この建物だけの菌がついているので、場所が変わると味噌の味が変わります。」と味噌製造部長である杜氏の西巻さんが教えてくださった。発酵食品の製造で、菌は重要な役割を担っています。大豆、米、水、そして菌。シンプルな素材から、味わい深い味噌が作り出されています。「ここには、人間のための空調はありません。夏は暑いですが、対処法とコツをつかんでいけば心配ないです。重い大豆や米を動かすのも、体を動かすコツをつかめば出来ます。」味噌づくりを体に刻んでいく作業。これぞ職人であり、歴史のある味を残していく人の姿でした。
新潟県産こしひかり米や新潟県産大豆を使用するなど材料にもこだわりを持って製造をしています。麹菌や酵母菌など微生物と向き合う貯蔵技術をもって仕込みを行い、みそ漬けはほぼ手作業で3回の漬け替えを行うなど、手間暇を惜しまない作り方です。

天保2年からの歴史

三階節みそは、5種類。醤油は、4種類。黄金みそ漬けは、季節によって野菜のラインナップを変えながら、12~13種類。専務取締役の杤堀さんは「伝統の味を守っていくためには、今までと同じことを続けていくことは難しい。」とおっしゃる。「今あるものを残しながら、新しいものを取り入れて、風を入れていきたいです。残していくものと新しいもののバランスが大切だと思っています。今までならこのサイズでよかったけど、最近はこんなにたくさん量はいらないという人がいたり、食べきれるサイズがいいという人がいたりするので、量は調整しながら時代に合わせることを意識しています。味は変えずにね。今求められていることに合わせていくのが大切なのかなと思います。」
例えば、手を汚さずに食べられたり、刻んであって簡単に食べられたり工夫しているといいます。今ある設備の中で、新しいことに挑戦していく姿勢をひしひしと感じました。「サクラ咲く合格にぎり飯の素」は、みそ西らしいアレンジをしながら若い人にも手に取ってもらいやすいように意識したといいます。にぎって出すことで、応援の気持ちも伝わるように。「お腹の中から元気になってもらいたい。」と笑顔で杤堀さんはおっしゃいました。野菜のみそ漬けは、県外の人にはあまり馴染みがないようです。どのように伝えていくか、発信していくか、今後が楽しみです。

様々な引き出しを持って

味噌づくりは、職人しかできない仕事で敷居が高いイメージがあります。杤堀さんにどのような人材を求めているか教えていただきました。
「食に関わったことのある人の方がいいかもしれないけど、それよりもいろんな引き出しを持っている人がいいなと思います。体力も必要だけど、勉強したいという探求心があるといいですね。」現場で味噌と向き合いながら経験を積むのはもちろんのこと、技能検定試験を受けるなど学びも必要不可欠です。また、自社のイベントを行ったり、まちのお祭りに出店したり、製造業だけではない業務もあります。
「えんま市は職員総出で出店します。お客さんの生の声を聴けるので貴重な機会です。ただ値段が高い味噌と思われることもありますが、せっかく地元で作ったものがあるんだから知ってほしいです。みんなで意見を出し合って、それぞれがやりたいことをするのも大切です。そうしないと考えが偏ってしまいます。」
これだけ商品があるので、さぞ大人数で作業していると思っていましたが、実際は職員12名という少数精鋭で行われていました。だからそこ、自分たちで働きながら、創意工夫して変化させていくことができます。自分の意見が採用される面白さ、コツを掴んでいく面白さ、気候に合わせながら味噌づくりをする面白さ。みそ西には、みそ西でしか味わえない面白さがあります。

このまちの宝

幼いころから、家業であるみそ西を誰かが継がなければいけないという想いを持ち、同時にプレッシャーも感じていたという杤堀さん。進学を機に実家を離れ、デザインについて学んでいたといいます。戻ってくるきっかけは、幼いころから持っていた「誰かが」という想いがあったからだそうです。
杤堀さんが最後に教えてくださった理念は「郷土の宝を未来に伝える会社」でした。昭和44年に西本町に開店した「フードタカラ」を思い出します。「宝とは、土地の食文化、知恵、そして人です。食を通して宝を未来に伝えていきたいと考えています。移住して経験してもらうには、なかなか良い仕事だと思います。その方の豊かさにもつながると思います。」大量生産では出せない、味わい深い食味を提供することで、柏崎という地域として贈答などにもご利用いただいています。まさしく、地域の宝として、人から人に贈られているのです。
まちの文化に携わる仕事ができるというのは、なんとも魅力的です。「柏崎の風土、生まれるいのち、知恵、心などを大切にして、変化を受け入れ、柏崎から食の発信をしていきたい。」と杤堀さんは語ります。丁寧なみそ作りのその先には、丁寧な暮らしが、丁寧な食文化があります。きっとこのまちにしかない菌が、みそ西の味を作っています。これからもみそ西は、柏崎の風土に根付いた食を作り続けていきます。

地域の食文化に興味のある方、食に携わる仕事がしたい方、ぜひ株式会社越後みそ西で宝を未来につないでいく仕事をしてみませんか。

取材執筆=坂野 安希(柏崎市移住・定住推進パートナーチーム)
写真撮影=中島 遼(NPO法人aisa)

企業情報
会社名
株式会社越後みそ西
事業内容
創業1831年、190年以上柏崎で醸造を行っています。みそは、古くより受け継がれる大きな木桶で仕込みをしており、新潟県産こしひかり米や新潟県産大豆を使用するなど、材料にもこだわりを持って製造を行っています。地域に根付いた食を作るという誇りを持って、少ない人数ではありますが、それぞれに協力しあい、丁寧に仕事を行っています。
コメント
昔ながらの大木桶でみそを仕込む味噌蔵です。柏崎の風土に根付いた食を作り続けています。

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