暮らしを見つめ直す 柏崎での時間

杤堀利英子さん(40代)
東京で、夫と小学4年と年長の娘2人の4人暮らし(移住当時の年齢)。
毎年夏休みになると、夫の実家である柏崎の旅館に家族で帰省。
多忙な毎日を過ごしていた母 利英子さんは、自然豊かな環境で子育てをしたいという思いがだんだんと強くなり、一念発起で仕事を辞めて、1年間の期限付きで令和6年春に子ども2人を連れて夫の実家に移住。夫は東京に残りましたが、時々柏崎を訪れ、家族で自然体験をしました。
東京に戻る直前の令和7年3月末に、利英子さんに1年間の移住の思い出をお聞きしました。
(取材:移住コンシェルジュ 中村沙織)

四季を感じ、伝統に触れるワークショップ
親子で参加した「子ども時間」というワークショップでは、ヨモギ団子や桜餅づくり、新米の炊飯など、季節に寄り添った体験が行われました。
地元の方から教わる「手しごと」は、暮らしの知恵だけでなく、地域のぬくもりや文化の継承を感じさせるものでした。

娘のために手縫いで作った浴衣

柏崎に来て初めて挑戦した浴衣づくり。
「母が私に浴衣を作ってくれたように、娘にも手づくりをしてあげたい」と思い立ち、柏崎市内の呉服店や地元の職人さんに相談。指導を受けながら、時間をかけて手縫いで一着を仕上げました。
その過程で出会ったのが「背守り(せまもり)」という文化。子どもの成長を願って浴衣に刺繍を入れる習わしを知り、自分の母が縫ってくれた浴衣にもその印があったことに気づきました。「柏崎の伝統に触れたことで、娘にも受け継いでいきたい気持ちが強くなりました」と振り返ります。

子どもの変化、小規模校だからこその学び


小学4年の長女が通ったのは、複式学級の小学校。東京では1クラス40人以上だったのに対し、柏崎は少人数。東京では「わからないことがあっても先生に質問できない」と言っていましたが、先生が一人一人に寄り添ってくれて「勉強が楽しい」と言うほどに。
学年を超えた全校生徒での自然活動。田植えや稲刈り、大豆取り、雪かき等の体験で、人とのつながりや思いやりを学びました。自分で植えた稲を東京の先生に送り、喜んでもらえたことが嬉しかったようです。地域の中で学んだことを自分の言葉で伝えられるようになりました。
地域との温かいつながり

暮らしを支えてくれたのは、地域の人々との交流でした。近所のおばあちゃんに漬物や料理の作り方を教わったり、学校のママ友に誘われて交流の輪が広がったり。「不便なこともあるけれど、聞けば必ず誰かが教えてくれる。地域に支えられて暮らすことができました」と実感しています。
親子で変わった価値観
東京では仕事に追われる日々。子どもとゆっくり話す時間も取れず、夕食も手早く済ませることが多かった生活。
柏崎では、手間をかけて料理をつくり、親子で会話を交わす時間が増えました。
利英子さんは「この1年で、仕事の仕方や時間の使い方、暮らしへの向き合い方が大きく変わった」と話します。仕事を通じての「稼ぎ」だけでなく、子どもの成長や家族の幸福が今は何よりの優先事項になったと話します。
地域との関係性を築く鍵は「目的」と「対話」
移住生活で感じたのは、「なぜここに来たのか」という目的をしっかり伝えることの大切さ。
「子どもに自然体験をさせたい」「文化を学びたい」など、意志を共有することで、地元の方々も親子を受け入れてくれました。
また、地域の方たちともすぐに打ち解け「何しに柏崎へ来たの?」と興味を持ってもらえたことが、つながりの第一歩に。
「相互に支え合う関係が自然とできていた」と、利英子さんは感じています。
これから移住を考える方へ
1年間の体験で、親子ともに「もう少しここにいたい」と思うほど、多くの気づきと成長がありました。
利英子さんは「目的を持って移住すれば、地域との深い関わりができる。文化を学び、人生観が変わる体験になる」と語ります。
移住とは、ただ場所を変えることではなく、「暮らし方」と「生き方」を問い直すチャンス。
柏崎は、そうした問いに静かに寄り添い、豊かな答えが見つかる場所なのかもしれません。
オーダーメイドの移住体験ツアーを随時開催!
今回ご紹介した杤堀さんは、ご自身で計画して1年間の移住をしましたが、柏崎市では気軽に参加できる1日~1週間ほどの『オーダーメイド型移住体験ツアー』を随時行っています。
柏崎市への移住を検討している方、これから柏崎市に住む予定の方向けで
・住まい探し
・まちの様子を見学(学校区や市街地、買い物先…)
・先輩移住者との交流
ができます。
皆さんの予定に合わせて行程を組むオーダーメイド型なので、レジャーや観光の前後に”ながら移住体験”もOKです。
初めて柏崎市に住む方はもちろん、しばらく柏崎を離れていた方も、あの頃とは違った視点で柏崎市内を確認してみませんか?

掲載日2025/9/1