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一人ひとりが自分事としてとらえ、「自分がここにいる」と感じやすい教育環境づくりを

柏崎市内の小中学校では、地域や学校の特色を生かした総合学習に取り組んでいます。ここでしか得られない体験、そして自分たちで考え行動する力を養い、子どもたちの成長へと繋げています。

全校の子どもたち同士や教職員の名前と顔が一致し、お互いがわかる関係性を魅力として挙げてくださった、北鯖石小学校の眞貝典子教頭先生。全校103名、各学年1クラス(インタビュー当時)、その中で子どもと先生の顔が良く見える学校の雰囲気をどのようにしてつくり、子どもたちはどんな経験をしているのか、活動の様子を伺いました。

担任の本間先生(左)と眞貝教頭先生(右)

米づくりとそのお米をたくさんの人に食べてもらうために

北鯖石小学校では、2011年から市内で唯一のユネスコスクール登録校となっていますが、現在はそれを特筆するのではなく、学校運営の基礎として落とし込んでいるそうです。
ユネスコスクールとは、ユネスコ憲章に示された理念を実現するため、平和や国際的な連携を実践する学校です。北鯖石小学校では、ユネスコスクールで提唱される4つのテーマ「自然、地域、世界、命」を柱に、学校生活や教育を学年ごとにテーマを決めて進めています。 その中でも5学年では、地域の方にご協力いただきながら米づくりの活動を長年続けています。地域の自然と農業に携わる経験、さらにはどのようにたくさんの方に食べてもらうかを考え、形にしていった、2023年度の5年生「たいよう学年」の活動を振り返ります。

自分たちの手で育て、収穫する。貴重な実体験は米どころならでは

ひとつとして同じではない -300袋以上のオリジナルパッケージ-

米づくりは地域の方に支えていただきながら、田植えから苗の観察、刈り取りまで一貫して作業を行い、その体験を通じて農業と食について学んできました。そして、そこで終わるのではなく、収穫後は子どもたちが一袋ずつ違うオリジナルパッケージを300袋以上作成し、その袋に計量したお米を入れ、学校行事の際に自分たちの手で販売をしたそうです。

「これまでクラスでは団結している姿をそんなに多く見ることはなかったんですけど、このときは一人ひとりが知恵を出し合って、お米を量る時は、『じゃあ僕がパッケージ持ってくるね』、『私量るから誤差があったら減らして』など自分たちで自然と役割分担していて、いい姿が見えたなっていう風に思いましたね。」そうおっしゃるのは、当時5年生の担任をされていた本間翔太先生。自発的に動く子供たちの姿に成長や変化を感じたそうです。

一人ひとりが心をこめたパッケージづくり

自分たちの「こうしたい」が形になった -地域の仕出し屋さんとつくるお弁当-

お米の販売の他にも、自分たちが手掛けたお米をもっとたくさんの人に食べてほしいという、たいよう学年の想いをつなげ、地元の仕出し屋さんの協力を得てお弁当づくりにもチャレンジしました。お弁当の中身も、子どもたちで「柏崎の野菜や魚を使いたい」と意見を出し合い、自分たちで郷土料理を調べてメニューをお願いしたそうです。つくったお弁当を家族や地域の方に食べてもらい、自分たちが形にしたものを通じて喜んでもらえたことや感謝に触れた経験も、一段と子どもたちの自信につながったようです。

「子どもたちはこの総合学習で、自分たちで考えて動いたら実現するし、難しいことも、ちょっとぶつかるところもあるなど様々な経験ができたからこそ、その後に行われた「6年生を送る会」でも5年生が主体となって、大成功を収めることができたのではないか」と本間先生はお話しくださいました。

お弁当は子どもたちの手で地域の方へ

体験だけで終わらない、子どもたちに「どうしたいか」を投げかけ寄り添うサポート

最後に眞貝教頭先生は、「体験はとても大事ですが、目の前にあることだけで終わりにするのではなく、自分たちはどう思ったか、この後どうしたいのかを子どもたちに投げかけてサポートすることも、社会で生きる力を伸ばすためには大事なことだと感じています」とおっしゃっていました。

こうした活動を通して、物事を子どもたちが一人一人自分事として捉える力を伸ばしています。大人からの一方的な指示や押し付けではなく、子どもたちの「どうしたいか」に寄り添う先生方や、地域の方々に支えられて子どもたちが育まれていることがわかり、とても印象的でした。また、子どもたちにとっても、そうした身近な大人に耳を傾けてもらえるという安心感が「自分がここにいる」という自分に対する肯定感にもつながっていくように感じました。

長年ご協力いただく地域の方々への感謝、想いも語る先生方

柏崎市の各校の総合学習では、様々な体験が特色を持って行われますが、体験だけで終わらない北鯖石小学校の取り組みから、さらに子どもたちの内面の成長に必要なことのヒントを得た気がします。

取材執筆=柏崎市移住・定住推進パートナーチーム

  • 【学校情報】
  • 柏崎市立北鯖石小学校
  • 新潟県柏崎市大字中田1743番地2
  • 北鯖石小学校みんなの合言葉「WE LOVE 北鯖石 はばたこう未来へ」
  • 教育目標「ゆたかな心で やりぬく子ども」
  • 全校児童数 103人(2024年10月1日現在)
  • ホームページ(https://www.kenet.ed.jp/kitasaba/

*この記事は2023年度に取り組まれた総合学習の内容です。